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新書の注意点

「現代人は忙しい。 時間をうまく使わねば」。
そして、「朝こそ、サラリーマンに残された最後の含み資産だ」もはや常識とさえなった、これらの言葉。 だが、実践している人は意外に少ないようだ。
二つの理由のせいだと思う。 多忙な仕事のなかで、自分時間の計画活用術にまで目が届かない。
勇気と改革の最大の強敵日習慣と怠けぐせ、の妨害である。 「ビジネスマンと時間の闘いは、別に朝にかぎったことではない。
一日でも一週間でも、そして一生の時間についても、無計画であったり、パニックのなかでほんろうされる人も無数にいる。 そうした日々は、殺伐とし、そして味気ない。

一日の、そして、人生時間の「貴重な一部である「朝」は、目覚まし時計で飛び起き、あわてて服を着、顔を洗い、食事を流しこみ、パスの停留所や電車の駅へと走る!とにかく忙しい。 計画的活用などよりも、「せめて新聞ぐらいには目を通したい」と思うのが精一杯の方も多いはずだ。
早起きすれば、きっと良いことはある。 そう分かってはいても、ついつい二の足を踏むのも事実だ。
朝、もうろうとした意識で過ごす布団のなかでの時間は、たまらない快感だ。 休日に思う存分寝て、太陽が高く昇ったあとにゆっくりと起きる解放感も、費沢きわまりない。
たしかに、人間とは二つの弱さを持った生き物かも知れない。 「いつもと同じこの繰りかえしに甘んじたい」と願う保守願望。
「水は低きに流れる」の安楽志向。 これらが、理店としては十二分に分かっている時間活用計画を葬り、朝をもっとうまく使おうとする意欲を阻止しているのではないだろうか。
以前、『ビジネスマンのための知的時間』では、そうした日常からの脱却を試みるための百一の提言とヒントを書いた。 ほんのちょっとだけ意識と行動を変えれば、それはすぐにできること、仕事の効率も上がるが、それ以上に、人生がより豊かに送れることを唱えてみた。
本書では、それを「朝という時間にしぼりこんで考えてみたいのだ。 *著者である私の職業は作家である。
作家とは時間に縛られず自由に生きられることが唯一の醍醐味ともいうべき仕事だ。 だから、その多くの人は朝寝坊であり、夜型だと聞く。
そんな中で、私は数少ない「朝型作家」だそうだ。 それは、かつては二十八年間のサラリーマン生活を送り、今でも午前七時半には机に向かっているという私自身の体験から、朝の有効活用がいかに大切かを身にしみて感じているからだ。
そこで得たいくつかを、二十三のヒントしにまとめて紹介してみようと思つた。 難しい理店や厳しい鍛練を求めない。

新たな道具や材料を買い揃えることも不要だ。 ごく日常的、きわめてカンタンな一工夫で、それは可能なのだ。
早起きの理論を説く、難解な学術研究書ではない。 やればよいのは分かるが、普通人にはちょっと、といった奇行をつづる自慢書でもなし当。
誰にでもすぐにでき、そこでもたらされる快感と希望を伝える早起きの応援歌。 毎朝十五分、一項目ずつ読めば勇気と元気が湧いてくる、「朝に読む朝の本だ」「早起き鳥」という言葉がある。
イキイキとさえずり、清々しい夜明けの使者である彼らアーリーパダーのように、私たちも、「朝の超人」「早起き鳥人」になってみようではないか。 毎日の生活と人生がさらに豊かに変わる、これは「心の朝食」でもある。
ささいなことにこだわるあまりに、全体像や大きな流れを見失うことへの戒めだ。 書物でいえば、世に氾濫する「ハウツー本」もそうした一つだと思っている。
時間の使い方活用法関連の本にも多い。 仕事の効率化や生産性アップのためという名目の下で、「よくも、こんなことをと言いたくなるような、さまざまな細かい工夫と努力を説いている。
電話のかけ方。 メモの取り方。
訪問予定表をこう作ればよい。 整理整頓術エトセトラ。

それで節約できる時間が数分から、ときには数十秒。 これでも「塵も積もれば山となる」(中年の筆者が記す本書には、やたらと諺が出てくる。
歳に免じてご容赦を)で大切なのだ、と脅される。 まるで、「爪に火をともす」(さっそく、諺の連投)ような、いたいけで惜しい努力だ。
読んでいて、だんだんと気持ちが沈んでしまう。 何でこんなことまでして、とつい思いたくなってもくる。
求められる早起きのモチベション「朝」を論じた既存の本にも、よく似たケスが多い。 やり残した仕事は朝かたづけよ(能率が飛躍的に高まる)車での読書や広告観察のススメ(「暇を惜しんでの情報摂取)、などなど。
たしかに、そうすれば仕事の生産性が上がることぐらい、小学生でも分かる。 でも、「眠たい目を無理に聞けてまでして、なぜしなげればとの疑問も拭えないはずだ。
利益増収を目的とするカイシャ側や成績アップによる出世が唯一の生き甲斐である仕事人間にとっては、それでもいいだろう。 だが、血も涙もある普通人は、これだけの理由で目覚ましの針を早めようとは思わない。
早起きのモチベシヨンは湧きあがらない。 カイシャに身を売った勤務時間内に強いられる努力ならば、それでけじめはつく。
だが、ただでさえ自由時間は少なく、しかも眠たい出勤前にまで、そんな過酷さを求められるとは。 せめて朝ぐらいは心ゆくまで眠りたい。
そんな反論が返ってきそうだ。 だが、こうしたときこそ、発想を変えてみてはどうだろうか。

木を忘れて森のことを考えてみるべきなのだ。 「木」とは、日常の仕事や、そこでの成果を指す。
そして「木とは、「人生の満足」を言う。 言いかえれば、「豊かで充実した生き方」と言ってよい。
そのためにも、今一度、時間活用の大切さを考えてみたいのだ。 豊かな人生と時間活用術人間が生きていくほんとうの目的は何か地位や名声や富を得たいというのもある。
だが、究極の理想は、それではないはずだ。 「豊かで満ち足りた毎日を送りたい」との願望ではないだろうか会社で出世し社会で有名になる。
その結果、権力や地位や名声を得ることも、自尊心を満たすことも、金を持ち安楽に暮らすことも、豊かさの一つの形態ではあろうが、手にできる人はわずかだ。 そして、得たからといって「人生の幸福」は実現しないことも多い。
豊かさを実現する手段の中に「時間」という資産もある。 そして、地位や名声や富が人によりきわめて不平等に配分されているのとは違い、これはすべての人間にとって平等なのだ。
社長も平社員も熟年も若者も、一日には二十四時間しか与えられてはいない。 そのかぎられた時間をいかに人間として有意義に過ごすかにより、幸福の度合いは大きモノだけではなくココロの充実が、そこで満たされると信じる。
く違ってしまうはずだ。 睡眠、食事や風呂などの必要生活時間、仕事、通勤、そして余暇。

その中で「豊かな人生」づくりにもっとも必要な時間は、多分、余暇と呼ばれる「自由時間だろう。 そして、それを阻害する最大の難敵が仕事時間だという構図は誰にも分かる。
しかも、その長さは生涯全体にすれば、じつに膨大な量なのだ。 人生八十年とすれば、総人生生活はおよそ七十万時間(二十二歳で社会に出たとして、それからは約五十万時間)だ。
図に示したように、うち仕事と通勤時間の合計が十一万時間。 一方、余暇は十六万時間を占める二大勢力ということが分かる。

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